
魚を釣り上げた時のヨロコビは、その数や大きさに比例しない。
上の写真は2001年3月に十勝川であげた43cmのアメマスだ。
この魚だけが、当日の唯一の釣果だった。
釣り場到着時の外気温は氷点下15℃。
日中も−10℃ほどにしか上がらず、水温は昼で1℃だった。
9時までは水面は流れてくる氷で覆われ、
たまに現れる氷の間の溝にキャストすることしかできなかった。
さらに、ガイドは3投もすれば凍りつき、
指先で割ったり、口に含んで解かさなければ、
ルアーを投げることもできなくなってしまう状況であった。
その中で釣り場に一番乗りした私が釣り場を後にしたのは、
誰もいなくなった夕刻だった。
何人かの釣り人が私の隣りで釣り始め、
そして、あまりの状況の悪さを罵り、諦めの言葉を残し帰って行った。
だれも釣り場にいなくなった夕刻、
唯一のアタリがあり、この魚が釣れた。
釣り場に立ってから9時間後だった。
初めからキツイ釣りになることはわかっていた。
天気予報では冷え込みの厳しさを数日前から伝えていたし、
良い情報も全くなかった。
それでも、私はこの日、魚を釣ると決めていた。
「絶対に釣る」
その思いだけで、ただキャストを続けた。
なにがあっても諦めないという覚悟と、
必ず釣るという決意。
そう思っていても必ずしも釣れるというわけではないのが魚釣りだ。
しかし、それがなくては、この魚を手にすることは不可能だった。
私にとって、このアメマスは、
思い出に残る珠玉の一尾となった。

